LinkedInで影響力ある発信を届けているアースメディア社の松本氏、KeyPlayers社の高野氏、ルーセントドアーズ社の黒田氏をお迎えし、採用に繋がる人事のパーソナルブランディングや企業のブランディングについて語っていただきました。またイベントの中では、LinkedInJapan社の早瀬氏からSNSを用いた採用方向の手法やトレンドについてもお話いただきました。
目次
LinkedInとは(LeIN芦川より)
LinkedInは世界最大ビジネス特化型SNS、いまはMicrosoftグループの一員となって世界中で利用が広がっています。世界では7.5億人、日本国内だと280万人が登録しており、日本国内ではFacebookのビジネス版というイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。機能としては、知り合いとつながったり、メッセージを送り合ったり、タイムラインに流れてきた投稿を読む、などがあります。個人アカウントと別に、会社や団体、学校といった組織でも専用のページを作って運用することができます。他のSNSとの最大の違いは、職歴や学歴がしっかり記載されているところ、ビジネスに関する内容を投稿することを、一般的にはおすすめしています。
一番大切なことは「認知の壁」を越える
採用を成功させるためのTipsについて、LinkedInJapanの早瀬氏に語っていただきました。採用を成功させるためには、①認知の壁、②興味の壁、③応募の壁の3つの壁を越える必要があるとのこと。
その中でも、①認知の壁を越えることが一番大変で、それぞれの壁を超えるためには、①では拡散力、②では訴求力、③ではタイミングが大事であるという話に視聴者は頷いていました。
これまでダイレクトリクルーティングの世界では、とにかくスカウトを送ることで応募を促すことを良しとしていました。最近では①認知の壁に対した動き=「採用ブランディング」に力を入れている企業様が増えており、実際にタッチポイントがある会社とない会社ではスカウト返信率に差が出てくるそうです。スライドには認知がいかに採用に繋がるかという興味深い話が盛り込まれていました。
採用ナーチャリングの世界では、
御社を知っている状態を保った上で、必要なタイミングで応募を検討してもらうこと
が必要とのこと。
ナーチャリングで大事なことは3つ、①接点を継続して持つこと(個人として/会社として)、そして、②情報の提供をし続けること。社員のインタビュー記事やテックブログ、採用に限らずとも何かしらの情報を提供し続けることが大事だそうです。そして最後に③機会の提供をすることが大切で、最近は特にウェビナーを効果的に活用されている企業様が増えているそうです。応募の壁を下げ、スカウトメールに「ウェビナーをやるので来てください」というメッセージも増えているとのことでした。
個人のパーソナルブランディングについて
まずは日頃のSNS運用における「考え方」を、パネリストの皆さまからシェアしてもらいました。
一番盛り上がっていたのは「SNS運用とは農耕型だよね」という話。農業は天候に関わらず、畑を耕したり、水をあげたりと手間をかけることが大切なのと同じように、SNS運用も毎日コツコツ続けることが大切で、そうしてたくさんの人脈ができあがったと高野氏が最初に語ってくれました。
また、黒田氏はご自身の過去の経験を交えながら、「頭の中にあることを誰かに伝えておきたい!」と考え、ポストイットのように呟いているそうです。皆さん個性があり面白いですね。
海外と日本でのLinkedInの利用方法の違い
日本でここ最近「個人主義」にまつわる話が増えています。しかし海外ではずっと個人主義が主流とのこと。個人が持っているネットワークをいかに機会に繋げるか、海外ではその意識がもともと高く、日本でもやっとその意識が芽生えてきて嬉しいと海外生活の長かった早瀬氏がコメントしました。
海外でFacebookはプライベート利用が目的のため、ビジネスの場でFacebookアカウントの繋がりを求めると嫌がられることがあるそうです。一方、日本ではFacebookはビジネスとプライベートの垣根がないため、Facebook上でビジネスの話をしづらい声も多いそうです。そういう意味では、ビジネスの話を思いっきりできる場として、LinkedInが良いと思うという話で盛り上がりました。
どうしたら個人ブランディングがうまくいく?投稿で意識していることは?
このテーマでは、
- できるだけ皆さんのお役に立てるように、ということを意識している。プライベートも知りたいという声をもらうため、一部自己開示をしながら投稿をしている。(高野氏)
- 投稿を振り返ってみると、7つの視点があり、例えば、転職者向けの視点、採用する側の視点、人材サービスをやる側の視点、経営者の視点など、がちがちに戦略は立ててはないものの、誰かに役立つことを意識して投稿している。(黒田氏)
と話されてました。お二人とも、フォロワーの役に立つことを意識している点が共通点でした。
また松本氏からは、
以前はHRやビジネス関連のネタで投稿してきていたが、最近は「人間味を出すこと」が大事だと感じているそうです。まさに親近感ですね。
続けて、投稿ネタに困るときは「自分が聞きたいと思うことを投稿する」という視点も興味深いです。自分が聞きたい話と、フォロワーが喜んでもらえる話は案外一緒だよ、という視点です。SNSの投稿で感じていることについて赤裸々に語っていただきました。
投稿は最大のナーチャリング
投稿し続けることは大変なことも多いですが、読み手/相手をお客様と考えた場合、投稿は最大のナーチャリングであるという話も納得です。ずっと投稿し続けると、相手に親近感を持ってもらい、ずっと繋がっているという感覚を持ってもらえる。その中で相談ができる関係性が作られる/アプローチしやすくなる、と松本氏から話がありました。この話に高野氏からは、
SNSのよいところは第一想起を取れること。
飛び込み営業の代わりが投稿で、皆がもっとSNSの世界に入ってくるとよいなと思っている、というお話がありました。高野氏はテレアポや訪問で勝てない同僚がいると感じ、その結果SNSで勝機を得たそうです。その他、繋がり申請自体を飛び込み営業と同じだよねという話題もあり、断られること覚悟で気軽に繋がり申請を出して良いのでは、という視点もありました。皆さんのSNS活用方法もお話しいただき、盛り上がったテーマでした。
組織ブランディングについて
個人アカウントと法人アカウントの使い分けについて、芦川から
会社ページからの投稿は誰からの投稿かが見えないこと、また個人アカウントと異なるフォロワー属性があることを理解することが大事とアドバイスがありました。「どういう立場で誰に向けて発信するか」を考え、個人アカウントと法人アカウントの投稿を使い分けるとよいという話がありました。
早瀬氏から、個人のアカウントに対しては「株式会社自分」だと思うくらいが良いとのこと。自分をどう訴求するか、どう認知度を高めていくのかなどを考えるべきだという話がありました。あくまでも個人アカウントは個人に帰属して運用するスタンスを、その上で、自分の所属している会社にとって大事なお客様に向けたメッセージは会社ページで投稿していくとよいのではないかと、アドバイスがありました。また所属する個人の投稿が会社の中身を映し出し、会社ページでつくれないような組織ブランディングができるというお話がありました。
またこのテーマの中では、法人のアカウントはフォローやいいねが伸ばしづらいという課題に対し、LinkedInの会社ページの投稿でも、投稿している人の人柄や人間味を出すことでリアクションやフォロワーが伸びているという実例をお話いただきました。視聴者も勉強になったのではないでしょうか。
個人と組織、それぞれのブランディングについて語っていただきましたが、機械的に投稿するのではなく、プライベートや人間味を出すということは共通して話題になっていました。また、日々の投稿が大事で、誰かの役に立ちたいと思ってSNSを運用されているというお話も非常に印象的でした。
このウェビナーを聞いて早速LinkedInやSNSでの投稿でアクションに移された方々が多くいらっしゃったと聞きました。ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。