【イベントレポート】ニトリ社の永島氏に学ぶ新卒採用広報の真髄とは?採用広報の手法としてのLinkedIn…その具体的な活用法とは?

【イベントレポート】ニトリ社の永島氏に学ぶ新卒採用広報の真髄とは?採用広報の手法としてのLinkedIn…その具体的な活用法とは? セミナーレポート

ニトリHD社の永島氏(※2022年に退任)とLinkedIn Japan社のヤン氏に、新卒採用広報に関するノウハウについて共有いただくイベントを開催いたしました(9月25日(金)実施)。

度重なる就活ルールの見直しや、新卒採用市場が早期化していることもあり、新卒採用を攻略することがより難しくなっている昨今で、「いかに早く、自社を認知してもらうのか」ということが重要になってきています。学生に自社を認知してもらう上で大切な「採用広報」について、永島氏からは自身の想いや自社の取り組みについて(第一部)、ヤン氏からは、具体的に採用広報の手法についてお話しいただきました(第二部)。

ご登壇者の紹介

永島寛之氏(上段)

株式会社ニトリホールディングスの理事/組織開発室 室長。これまでのご経験を活かし、マーケティング手法を取り入れた採用戦略で、同社を学生人気企業に押し上げた。(※2022年に退任)

ヤン レイ氏(下段)

LinkedIn Japan アカウントエグゼクティブ。現在はLinkedIn社で、同社のデータ、ソリューション活用を企業に提案する傍ら、学校・学生向けに新しいキャリアや働き方の紹介をしている。

 

【第一部】ニトリ社の永島氏に学ぶ新卒採用広報の真髄とは?

■人事にとっての「顧客」は誰なのか?を常に考えている

講演会の冒頭では、永島氏が新卒採用についてどう考えているのか、人事という仕事への想いを語ってくださいました。これまでのキャリアでご経験されたマーケティングや、ニトリ社に入社して最初に配属された店舗での経験が活き、常に「個人」視点を大切にするようになったという永島氏。

「人事の仕事で最も大事なのは『社員のEmployee Journeyをデザインすること』」

であり、学生本人の価値観や好奇心と、その方がやっていきたいことをいかにマッチングするかが採用基準になっており、、人事にとっての顧客は「社員」だというお話しをされていらっしゃいました。

「人事の世界で『顧客とは誰か』と考えたときに、社長や経営陣、HRBPをみながら、仕事をしてしまうケースがあると思うけれど、そうではなくて、やはり人事の顧客は社員であるというのは当たり前のようであって、当たり前にできていないことが結構ある。これを人事の施策を考える中で、中心に置いている。」というお話が印象的でした。

また学生を採用する基準としては、「学生本人の価値観や好奇心と、その方が将来やっていきたいことをいかにマッチングするか、インターンシップから入社、その後の活躍までをどうやってつなげられるかというのがすごく大切になってきて、本人の価値観とその方が成し遂げたいことの間に、我々が入って、そのステージを用意できるか」であるとお話しされていらっしゃいました。

 

■採用広報における3つのポイントとは…

永島氏が考える、採用広報に大切な3つのポイントについて、以下のようにご説明されていました。

  • どんな採用ブランドで、どう採用するのか
  • 「ひっかけ」ではなく、「きっかけ」を提供する
  • 入社後へのつなぎこみ

広報には、企業ブランディングと採用ブランディングの二通りがあり、もし会社が新たな領域での事業展開を考えているのであれば、企業が未来に作りたい価値、将来こうなっていたいと言語化して、イメージ化する採用ブランディングが大切だとお話しされていた永島氏。

具体的なお話として、ニトリに当初、志望していない、金融や商社を就職先に考えていた人たちを、いかにニトリの圏内に入ってもらうかということを意識して、いろんな採用ブランディングをやってきた、ということをご説明されていた永島氏。あるときは、ガンジス川の畔にニトリの店舗を置くとしたら、どんな店を作るか、トランプタワーがニトリホテルになったとしたら、どんなものを創造するか、定住していない人たちにニトリの商品を買ってもらうならどんなことが考えられるのか、そんな問いを採用ブランディングに混ぜていきながら話をすることで、もともとやメーカーや金融業界を志望していた学生に、少しでもニトリ社の興味を持ってもらうようにしているそうです。

その採用広報をする上で欠かせないのが、自社採用サイトに代わるような等身大の情報発信です。

「新卒採用サイトは綺麗にできてしまっており、年に一回の更新で、あまり新しいことが載っていないため、見る側からするとあまりフレッシュさがない。興味を持ってもらうためには、いまの従業員がどういう顔をして働いているのか、アップデートやリアルな情報を発信していくことが重要」だとお話しされ、そうしたコンテンツを集めていらっしゃるとのことでした。内定者(入社するって決めた方)の不安解消として、新卒採用サイトを掘り下げて見てもらうためにそうしたコンテンツが大切であるとお話しされてました。

 

■ニトリのインターンシップは、入社する人を増やす目的ではない

学生に人気のニトリ社のインターンシップは、商品開発やマーケティング、ITといったいろんな業界の内容が詰まっており、自分の未来を探してもらうような内容になっているといいます。

「一番考えているのは、『就活に悩む学生をゼロにしよう』というもの。ニトリに入る人を増やすのではなく、悩む学生をゼロにしようということに、とにかくこの時期は集中しようとしている。」

と永島氏はご説明されており、実際に自社で取っているデータの中で、内定者の75%が直接的でなくても(例えば先輩の紹介でニトリ社のインターンを受けたなど)、なんらかのかたちで影響を受けていることが分かっているそうです。

 

採用と教育、人事というものは絶対に切り離してはならず、採用では本人の価値観や好奇心を見つけていくのか、またその後の教育においても齟齬があってはいけないので、ニトリ社では、ちゃんとその方の好奇心をつなげていくような研修を用意されており、インターンシップからオンボーディングの研修、その後のキャリア研修も体系立ててやられており、これまでお伝えいただいたように、採用ブランディングにこだわっていると「想いをもった学生が来てくれるようになる」とお話しされていらっしゃいました。

結果、19年新卒の意識調査(マイナビ社)によると、会社で目立ちたい/一仕事あげたいという項目や、叶えたい夢があるかという項目において、全国平均の数値と比較した際に、ニトリに入社した社員は圧倒的に高いということも分かっており、また併願先で言うと、業界で見られない採用ブランディングをしているため、小売業が併願先ではなく、メーカーや金融、ITといったところが併願先になるようになってきているとのことでした。

ニトリの採用ブランディング強化は事業成長や組織成長に直結しており、これからの取り組みにさらなる期待が寄せられる永島氏の講演でした。

 

【第二部】LinkedInを用いた採用広報…そのポイントは?

世界中で7億人以上が登録しているリンクトイン(LinkedIn)ですが、日本ではこれまで、中途採用やボストンキャリアフォーラム開催時の海外学生へのリーチ等で使用されていましたが、最近では日本在住の大学生の登録も増えてきているとのことです。日本在住の大学生の登録が1年間で123%以上増えており、日本の公私立のトップ大学が占めているヤン氏にご説明いただきました。

 

■なぜ学生はリンクトインに登録するのか?企業は学生にどうアプローチするのか?

近年、特に世の中の動きが早いため、学生は情報を求めるためにLinkedInを使用するようになっており、情報収集のほかにも、キャリアのシミュレーションやOB/OG訪問、インターン・就職先探しのために使用しているようです。

これらの学生に対して、企業がリーチするには、

  • 情報収集しているプラットホームなので、「きっかけ」を提供する(会社として、働く場として知ってもらう)
  • エンゲージしてくれた人(いいねやシェアをしてくれた人)人に関してはプールを作って、ナーチャリングをしていく
  • 新卒にスカウトする際は自社について関心がある、エンゲージしてくれた人(いいねやシェアをしてくれた人)を優先的にする
  • 世界の変動に対して感度の高い学生プールのリーチしていく

という点が大切だと、ヤン氏は説明されていました。

実際にインターン先や就職先を探す前から、リンクトイン上で企業の情報に触れてもらうことで、実際に活動する際に、第一想起してもらえる可能性が高くなるため、大学一年生のうちから自社を認知してもらうことが大切だとお話しされていました。

 

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